Interview

SHOWAISM〜私のストーリー〜

企業に勤める管理栄養士として
―商品開発で知識を活かす

森永乳業株式会社
営業本部 市乳統括部 市乳マーケティンググループ
管理栄養士
清水 かおりさん

生活科学部
生活科学科 管理栄養士専攻(現:管理栄養学科)
2012年卒業

母と同じ「管理栄養士」の資格を取るために昭和女子大学へ

管理栄養士の資格を持つ母は、子どもの頃から私たち家族の健康面を全面的に支えてくれました。ファストフードなどの外食をほぼしたことがなく、お弁当も手作り。冷凍食品もほとんど食べたことがありませんでした。私たちと父の食事の時間が違う場合でも、その都度食事を準備して、いつも温かい食事を食べさせてくれました。私にとって理想の母です。大学受験の際には、将来、薬剤師か管理栄養士どちらを目指すかで迷っていた私に「食べることが好きなら管理栄養士の方が向いているんじゃない?」と管理栄養士を薦めてくれました。母の薦めをきっかけに情報収集をしていると、海外では管理栄養士も医療現場に入って聴診器を持って働いているということがわかり、きっと日本でも近い将来、管理栄養士や栄養士が医療の現場で活躍できる場が増えるのでは、と考えました。

いろいろな大学を調べたなかで、昭和女子大学の管理栄養士国家試験の合格率の高さと、「女性だからこそ輝ける」というスタンスや教育方針が自分に合っているのではと思い受験しました。実際、入学してみると、活発できちんと自分を持っている学生が多く、入学してよかったと感じていました。

課題と実習に明け暮れた大学時代でした

管理栄養士専攻の最終目標の一つは、国家資格である「管理栄養士」の免許を取得すること。そのためのカリキュラムが多く、朝から晩まで必須科目を受けていきます。国家試験受験資格を取得する関係で、全科目で出欠をしっかり取りますし、実験や実習、多くのレポート、卒論など卒業するまで忙しい毎日でした。4年生になると、国家試験の模試もたくさん。順位が1位から全員貼りだされるなどシビアな部分もありましたが、補習など様々な面で先生方のサポート体制が万全でした。大学入学前に想像していた、“華やかなキャンパスライフ”とは少し異なりましたが、勉強一色だったことは、今振り返ると学生らしくてよかったなと思っています。

学生生活のなかで、とくに思い出に残っているのは「学寮研修*」。毎年1回、千葉県と神奈川にある大学所有の宿泊施設で3泊4日の共同生活をする、昭和女子大学ならではのプログラムです。起床後、掃除をして授業や体験実習といった学科プログラムを受ける…。あくまで授業の一環で、イベント満載の中学校や高校の修学旅行とも少し異なる感覚でした。“大学生になって集団生活か…”と、当時は気が進まない行事でしたが、今になって、いろいろなタイプの人たちと数日間共に過ごすことで他人への気遣いを学べていたのではないかと感じることがあります。そんな日々を共に過ごした大学時代の同級生とは、戦友のような関係性。今でも仲良くしています。

*学寮研修とは

本学では創立以来、学生寮と研修学寮での生活を総合して全寮制と呼び人間形成の場として位置づけてきました。学寮研修は、教員と学生全員が1年に1度、学科単位で3泊4日の宿泊研修を行う本学独自のプログラムです。富士山を望む神奈川県の東明学林、もしくは千葉県房総半島の望秀海浜学寮で、フィールドワークやグループワークを通じて、学生同士の友情を深め、自主性・協調性を養います。

CHECK! 「リーダーシップを鍛える「プロジェクト型学寮研修」」(授業・学生の活躍 2019年7月4日)
CHECK! 「昭和女子大学の学寮研修って何? 〜管理栄養学科編〜」(昭和学報 2019年12月9日)

大学時代の病院実習を終えて、「ミルク」を扱う企業に興味を持ち始めました

高校時代に考えていた目標は、病院所属の管理栄養士。実際、学校給食や病院食に携わる会社に就職した同級生が多いように思います。けれど、大学の授業で実習に行った病院の小児科に入院している子どものお母様のお話を聞いたことがきっかけで、将来「管理栄養士としてややりたいこと」に変化がありました。入院している子どもの中には、生まれてから亡くなるまで病院で過ごす子も多く、そんな子どもたちにとって、「食」は数少ない楽しみの1つです。あるお母様が、「アレルギーや好き嫌いもあるけれど、子どもが『森永のミルク』を飲んでくれることが、心の支えになっています」と話してくださったんです。

このことをきっかけに、「森永乳業株式会社」に興味を持ち、会社について色々と調べていく中で就職を考えるようになりました。会社説明会に行くと、社員の皆さんがとても穏やかで、かといって、ゆるいわけではなく、引き締めるところは引き締めて働いている。この社風は、のんびりした性格の自分に、合っているかなと思い入社試験を受けました。

管理栄養士としてレシピ開発、商品開発に携わる

清水さんが開発に携わった、日本初の常温保蔵可能なお豆腐

入社後は、「フードソリューション研究所」に配属。弊社製品を使ったレシピ開発を担う部署で、外注ではなく、社内にこのような部署がある企業は珍しいようです。主な仕事は、商品のパッケージやホームページ、店頭で配布する冊子に掲載する、“こんな調理法もありますよ”と提案するためのレシピ開発。さらに消費者に向けた料理教室を開いたり、法人営業担当に同行して得意先の方々の前で調理をしたり、ときにはイベントスペースでデモンストレーションをしたこともあります。約7年間、研究所内にある家庭用キッチンで日々レシピ開発をしていました。

さらなるステップアップのために、「市乳統括部」に異動。市販品ではなく、自宅や病院、学校給食に届ける商品の開発をする部署です。既存の製品をアレンジする「フードソリューション研究所」ではできなかった、市場ニーズなどを加味して新商品を開発していくことができることに、やりがいを感じています。現場で働く栄養士と話す機会も多いのも異動を希望した理由です。営業担当の方は栄養士の資格を持っていないので、「得意先の栄養士さんにこういう質問をいただいたんですが…」という相談も多いですし、展示会で専門的な質問に答えることも。企業に勤める管理栄養士は少ないですが、資格を活かすことができる仕事に就けて、充実した日々を過ごしています。
管理栄養士の資格は一生もの。仕事をリタイアしたら、地域の相談室などで食生活の相談に乗りたいなと思っています。

昭和女子大学で培った習慣は、きっと社会人になってからの糧になる

社会は今、女性が働きやすい環境が整いつつあると感じます。きっと今後はさらに働きやすくなるのではと思います。また、女性は男性とは異なる可能性を多く秘めていて、その可能性は無限だと感じることが多々あります。実際、女性の“ひらめき”や“経験からの意見”には重みがあると感じることが多いんですよ。

一方で、日本らしい文化や思考がどんどん失われていると感じることもあります。だからこそ、集団生活について学べる昭和女子大学の学寮研修や先生と学生の距離感、徹底した授業体制など昭和女子大学ならではの勉強スタイルは大切にしていってほしいと思います。

私は学生時代から、料理を作ることが好きで、料理本を読むことも大好きで、授業に関係なく自主的に知識を取り入れるようにしていました。また、実習や実験に疑問があれば、授業に関係なくても、納得がいくまで調べたことも。それほど好きでも、ふと“なんでこんなに勉強しているんだろう”“なんでこんなにたくさんのレポートを書いているんだろう”と思うこともありました。けれど、社会人になってからこの学生時代に培った“気になることはすぐに調べて、考えて、そして咀嚼する習慣”は、とても大切なことだったんだと思います。社会人になって身につけようと思っても、なかなか難しいことですから。こういったことを当たり前に学ばせてくれる昭和女子大学に通う学生の皆さんには、自信を持って社会に羽ばたいてほしいと思います。

清水 かおり さん

(しみず・かおり)

森永乳業株式会社 営業本部 市乳統括部 市乳マーケティンググループ 管理栄養士

2012年 昭和女子大学 生活科学部 生活科学科 管理栄養士専攻(現:管理栄養学科)卒業

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